私は本を読むのが遅い+普段の生活ではあまり本を読まないのですが、たまに電車移動があると、何かしらの本を読みます。(自宅最寄り駅から名古屋駅まで1時間あるので、本を読むには最適なのです)
先日のOSC NagoyaやPHPカンファレンスへの東京遠征の電車移動の時間で、ようやく「アーキテクチャの生態系」を読み終えました。この本の内容は多くのSecond Lifeユーザーには興味深いものだと思います。以下私の感想などをまとめてみます。
■「アーキテクチャ」とは何か
本書のタイトルでも使用されている「アーキテクチャ」という言葉ですが、これは本を読んでいただくのが一番なのですが、例えば以下のような説明がなされています。
ネット上のウェブサービスもまた、情報技術(IT)によって設計・構築された、人々の行動を制御する「アーキテクチャ」とみなすことができます。
(第一章 アーキテクチャの生態系とは? P14)
この説明ではネットサービスに限定した言い方をしていますが、もっと広義に、例えば「飲酒運転を減らすために、飲酒運転の罰金を増やす」というのもアーキテクチャの1つだと書かれています。
つまり、「~してはならない」と言葉だけでルールやマナーをあいまいに伝えるのではなく、「~しなければ××というペナルティがある」という、より厳密でシステマティックな方法を採用して人間の行動を制御している仕組みをアーキテクチャと呼んでいるようです。
■アーキテクチャの視点でサービスを比較
本書の面白いところは、こういった「アーキテクチャ」という視点でいくつかのサービスを比較している点でしょう。例えば以下のようなサービス(システムおよび現象)がアーキテクチャという視点で細かく分析されています。
ニコニコ動画をやや持ち上げすぎな印象もありますが、それを差し引いても、この「アーキテクチャ」という視点での分析はとても興味深いです。(2ちゃんねるやニコニコ動画が良くできている、と改めて思わされます)
■感想
昨今では、セカンドライフがマーケティングや経済関係のブログなどに取り上げられる際には、必ずと言っていいほど「過疎」「人がいない」といったキーワードとともに語られます。閑散としている(人口密度が低い)ことの善し悪しそのものについてはここでは論じませんが、本書の分析では、セカンドライフのような仮想世界サービスは「閑散としてしまうアーキテクチャ」であると分析されており、そのようになってしまう(見えてしまう)のは必然ということになっています。
この点は、セカンドライフである程度「生活」したユーザー(住人と呼びましょう)なら、以下のような反論をしたくなると思います。
たしかにその通りなのですが、これらはほとんどが「セカンドライフの外側」のサービスであって、セカンドライフそのものの仕組みではないんですよね。もちろん、セカンドライフにも検索の機能が内蔵されていて、それを使ってお店や人気の場所、グループなどを探すことはできます。ですが、(全体としては)これらの機能はあまり上手く活用されていないと私は考えています。
また、この検索機能が今の延長線上で強化(例えば日本語が*普通に*使える、など)されたとしても、やはり「ユーザーが能動的に探す」ことをしなければならない点は変わりませんよね。
「ではどうなっていればよいのか」というところまでは、具体的にイメージするのは難しいのですが、例えばFriendFeedで「友達がコメントした(自分の購読者じゃない人の)エントリが見える」というようなアーキテクチャにヒントがあるんじゃないかと私は考えています。
そのような「人と人とのつながりを支援する仕組み」だったり、「人の活動の見える化(作ったモノそのものという以外で)」などが「アーキテクチャ」として組み込まれたサービスが、次の世代のメタバースなんじゃないかなと私は想像しています。
※こういった追加機能や仕組みをサードパーティがアレコレできるというのがSecond Lifeの(そしてTwitterの)良い点なのでしょうけど、サードパーティ製のものはそのままでは「アーキテクチャ」にはなれないんですよね。サービスの全ユーザーがそれを使っているという状態にならない限り。
「次の世代のアーキテクチャ」を持つ仮想世界にセカンドライフが進化するのか、それとも他のサービスが出てくるのか、またはセカンドライフが今のアーキテクチャのまま広く受け入れられるようになるのか、結論が出るには数年かかりそうですね。
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